《連載》【阿佐谷と私】第五回 喫茶 天文図舘 山城隆輝さん

連載企画

いつも阿佐谷百貨店にご訪問いただき、ありがとうございます。

阿佐谷の街の魅力を、より伝えるべく、始まった企画【阿佐谷と私】。

阿佐谷に携わる”人”にフォーカスし、また新たな側面でそれぞれのお店の良さ、街の良さの発見につながればという趣旨にて連載しております。
主にお店を営まれている方を中心にショートインタビュー形式にて紹介させていただいています。

五回目となる今回は、昨年スターロードにOPENした喫茶 天文図舘の店主、山城隆輝さんにインタビューさせていただきました。
OPEN当初からローカルWebメディアやSNS等に取り上げられ、Twitterでは約3000RTと話題となっている新店。

扉を開けると、まるでタイムスリップしたかのようなノスタルジックな空間が広がります。
細かに作られたこの内装は山城さん自らがプロデュース。日々アップデートを重ね、独特な世界観の中、素敵な時間をお客様に提供しております。

喫茶 天文図舘


阿佐谷百貨店
本日はお忙しい中、インタビューにお答えいただき、ありがとうございます!早速ではありますが、1つ目の質問です。

阿佐谷にお店を出されて何年目になりますか?

喫茶 天文図舘 山城隆輝
5ヶ月です!2020年8月にOPENしました。
阿佐谷百貨店
お店の名前の由来はなんですか?
喫茶 天文図舘 山城隆輝
宮沢賢治の世界をイメージして『天文図舘』と命名しています。
弊店のコンセプトは「ノスタルジーな空間でお客様を癒す」なのですが、僕にとってのノスタルジーな空間とは宮沢賢治の世界でした。
小学校の頃に宮沢賢治が授業で出てきて以来彼の世界観に憧れ、『天文』という文字は彼の代表作である銀河鉄道の夜から連想しています。
ちなみに同時期に小学校の理科の課外学習で行った杉並区立科学館(閉館)のプラネタリウムが銀河鉄道好きに拍車をかけていたなと思いました。
種子島(鹿児島県)に移住してた時期もあったのですが、それもロケット発射場があったのと、過去に「日本一の星空」に選ばれるくらい星が綺麗だったのが理由です。
ちなみに鹿児島には天文館という町があって、それも名前の参考にしています。
『図舘』は店が本や手紙のイメージが強かった事や、『天文』に対して韻を踏んでたこと、そして何より覚えやすいと思って決めました。
阿佐谷百貨店
なるほど、とても素敵な由来ですね。よかったらもう少し深堀りさせていただきたいのですが、なぜ山城さんは「ノスタルジー」に惹かれたのでしょうか?そのキッカケがあれば教えてください。
喫茶 天文図舘 山城隆輝
「ノスタルジー」という感覚に自分が救われた経験があるからです。
小さい頃から野球をしており、甲子園でプレーをするのがずっと夢でした。
最終的には甲子園に行くことは叶わなかったのですが、思い残す事は無いくらい充実した日々だったと思います。
ただ部活を引退したあとに待ち構えていたのはとても退屈な日々でした。
何をしても満足感が得られずずっとイライラして、この先の人生にあの時以上の充実感や高揚感が無いのなら生きてる意味あるのかなと考えるくらい悩んでいました。
そんなときに僕の心の平穏を保っていたのが「ノスタルジー」という感覚です。
本を読みに喫茶店に行ったり、海を見たり、夜の町を徘徊したり(笑)、多種多様な空間が僕を癒してくれました。
そういった日々の中で「ちょっと切ないけど暖かい気持ち(ノスタルジーな気持ち)」って素敵だなとふと思ったのがキッカケです。
そこからお店を始めるまで少しずつノスタルジーという概念にのめりこんで行きました。
阿佐谷百貨店
そういったバックグラウンドからノスタルジーが山城さんに染み付いているんですね。その感覚をこうやってお店というカタチに表現されているのもとても面白いな、と思います。
続いての質問になりますが、どんなお客さんが普段来られますか?また、来たお客さんにどんな風に過ごしてもらいたいですか?
喫茶 天文図舘 山城隆輝
高校生からおばあちゃんまで幅広くいらっしゃいます。
男女比も半々かちょっと女性の方が多いかなという印象です。

基本的には阿佐ヶ谷の方が多いですが、名古屋や台湾から来たという方もいらっしゃって、その時は物凄く驚きました。

是非1人でいらっしゃって空間に浸って欲しいですね。
各机にお客さんが書いていった置き手紙があるので、それを眺めてるだけで小一時間は過ごせてしまうと思います。
何も考えずにボーッと過ごして頂ければと思います。

阿佐谷百貨店
幅広い世代に、また遠方からも来られているんですね。置き手紙からはそれぞれのストーリーが垣間見えてとても素敵な仕掛けだなと思いました。
最後の質問です。山城さんから見て、阿佐谷の魅力とはどんなところですか?
喫茶 天文図舘 山城隆輝
「町の文化が好きで住んでる人が多い」という所です。
生まれも育ちも阿佐ヶ谷近辺なのですが、昔から町全体にビジネスっ気があまり無く、阿佐ヶ谷の文化やユルい雰囲気が好きで住んでいる人が多いなという印象です。
お客様も音楽や映画、文学、ラジオ、漫画等が好きな方がとても多く、会話の中心はいつも文化的なものばかりです。
たまに色恋話などもありますが(笑)
他所の町から大勢の人が入ってくる感じでも無いので、同じ価値観の人達でほどよく閉ざされた空間なのも居心地の良い理由かなと思いました。
阿佐ヶ谷はとても落ち着いた町だなと感じます。
ある意味インドアな人が多いのかもしれません(笑)
それぞれが家で自分の趣味に没頭して気晴らしに町をフラッと散歩してお茶をする。
そんな人々で阿佐ヶ谷は作られている気がします。

いかがでしたでしょうか?阿佐谷百貨店編集部の筆者自身もよく遊びにいくお店の一つではありますが、いつも誰かしら常連さんが訪れ、早くも街に定着しつつある印象を持っております。

空間を活かした「もくもく読書会」など、さまざまな企画もやられているので、ぜひ一度足をお運びください。
情報はTwitter、Instagramで発信中です。

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阿佐谷百貨店では、こちらの連載に登場いただける方を随時募集しております。お店の情報としてだけではなく、 阿佐谷とお店にまつわるストーリーを少し知っていただくことで、また新たな側面から魅力の発見につながるキッカケとなればと考えております。

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