【特別企画】阿佐ヶ谷ロマンティクス 3ヶ月連続シングルリリース スペシャルインタビュー(3/4)NEW SINGLE「焦がれ」7/28配信開始

特別企画

地域にまつわるカルチャーを通じ、さらなる街の魅力と人やアーティストの出会いの架け橋となれればという想いから、立ち上げた特別企画。

FUJI ROCK FESTIVAL’18やROOKIE A GO-GOにも出演したバンド、阿佐ヶ谷ロマンティクスの3ヶ月連続シングルリリースに合わせ、阿佐谷百貨店に登場いただきました。

5/26に「きっかけ」のリリースを皮切りに、6/24には『泡影』、そして7/28には「焦がれ」をリリース!
特別インタビューをさせていただき、リリースごとに公開しております。

3回目となる今回は彼らのバックグラウンドや音楽性に触れ、より深い内容となっています。
ぜひ楽曲と併せてお楽しみください。

阿佐ヶ谷ロマンティクス
阿佐ヶ谷ロマンティクスは有坂朋恵(ヴォーカル)・貴志朋矢(ギター)・堀智史(キーボード)・古谷理恵(ドラムス)・本間玲(ベース)の5人組。2014年春、結成。ロックステディやレゲエといった中南米音楽の要素をニューミュージックやティンパンアレイといった、日本語ポップスへと落とし込んだ、バンド名の通りロマンティックなナンバーを奏でるグループ。

——実際、阿佐ヶ谷のまちをイメージして曲作りされたりはするんですか。
貴志:「春は遠く夕焼けに」とかは考えたかもしれないですね。今回の(新しい)曲でも高架下と言った表現があったりするんですけど、そこは中央線の高架下を思い浮かべていてたりしてます。一概に阿佐ヶ谷をイメージしたっていう曲はないですけど。連想されているような感じはありますね。

春は遠く夕焼けに(シングル)

——阿佐ヶ谷ロマンティクスの音楽をイージーリスニングってたとえていたと思いますが、それは今も変わらないですか。
貴志:2017年の『街の色』っていうアルバム出したときのインタビューで答えたんだと思います。9曲入りで3、40分くらいのアルバムなんですけど、アルバム単位で聴いてほしかったので、身がまえて聴くんじゃなくて、生活の一部として、そこに音楽があるような感じで聞いて欲しいという意味でイージーリスニングという表現をしたと記憶しています。ミックスもボーカルが大きくて、あまりベースが出てなかったり、まぁ少し丸みを帯びた音にしてたんで。
今はどちらかというと、1曲1曲に対して聴いてほしいっていうのがあって、たぶん、自分たちの聴き方も2017年だとSpotifyもAppleMusicもまだメジャーじゃなかったので、聴き方が変わりました。今はプレイリストで聴いちゃってるのも多いので、それで1曲1曲聴いてほしいと。今回の楽曲はベースがいっぱい出てて、どちらかというと聴き応えがある方に、リッチな方向に進んでいます。そういう意味では2017年のイージーリスニングっていうのはイメージが違うかなって思っています。でも音楽が生活の一部として扱ってほしいっていうメッセージについては変わらないですけどね。

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——HMVの方で俺の10枚を選んでたと思うんですが、音楽遍歴を聞いてもいいですか。
有坂:うたを歌うのは本当、もの心ついたときから好きだったんです。小学校のときとかも休み時間に音楽室に通ってるような感じで。楽器もいろんな置いてあるやつをさわっていいって言われてて、なんかいろんなのを叩いて遊んでた。そのあとピアノ習っていたので、ピアノ弾いてたりとか。ずっと広い感じで音楽が好きだったんですけど、バンドに関してはいまだ古谷先輩って呼んじゃってるんですけど、高校の部活で、軽音楽部みたいな部活があって、そこでバンドをはじめて、古谷が1こ上の先輩でした。そのつながりで、全然違う大学に通ってたんですけど、サークル(中南米音楽研究会)に呼んでもらって、歌ったりとかしてるうちに、こんなに長くやってます。
古谷:お兄ちゃんが2人いて、兄が2人ともドラムをやっていて、家に電子ドラムがあって、遊びでやってたんですけど、高校に入って、中学が剣道部だったので、剣道部かバドミントン部に入ろうとしてたんですけど、新入生歓迎ライブみたいなので、先輩がレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(*)のコピーバンドをやっていて、めちゃめちゃカッケェってなって。電子ドラムならうちにあるし、ドラムならできるなってなって、そこからずっとやってます。

——レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンから、なんで中南米音楽研究会に入ろうと思ったんですか。
古谷:それも高校の先輩つながりなんですけど、もともとスカパラとかフィッシュマンズ、めちゃ好きだったから、ルーツを辿っておくかっていうところもあって、入ったみたいな感じです。そこで有坂以外の阿佐ロマのメンバーに会ってって感じです。
貴志:古谷とぼくは同じ代だったんですけど、そのときに1年生でレゲエバンドをやろうってなって、そのときに古谷に出会いましたね。

古谷:そっか、めちゃ懐かしい。わたしパーカッションやってたよ。
有坂:わたしの知らない話。
古谷:「バッファロー・ソルジャー」(*)やったわ、「バッファロー・ソルジャー」と…
貴志:「アイ・ショット・ザ・シェルフ」(*)ね。
古谷:ああっ、「アイ・ショット・ザ・シェルフ」!

——じゃあそこで、阿佐ヶ谷ロマンティクスと名乗る前にやったわけですね。
古谷:そうですね。
貴志:クォーター(3ヶ月)ごとに自分のやりたいジャンルでバンドが変わっていくみたいなのがあったんですけど。ちょくちょく古谷とはやってましたね。
古谷:ロックステディとかレゲエ、中南米音楽をやってましたね。
貴志:大学時代は忠実にコピーしてたよね。

——貴志さんの音楽遍歴も聞いていいですか。
貴志:ぼくはちっちゃい頃、3歳ぐらいからピアノをやってたんですけど、小学生の頃とかは親の影響でサザンオールスターズとか好きで、中学校に入ってからは洋楽が聴きたいと思って、ボン・ジョヴィが好きになりましたね。高校になって、ボン・ジョヴィじゃ刺激が足りないと思って、ガンズ・アンド・ローゼスを聴いて。でもガンズが好きでありつつも、オアシスとかビートルズも好きでした。
そこからなぜか大学に入ってレゲエをやるようになるんですけど、急にレゲエとかロックステディとかにハマりましたね。急なんですよね、自分でもよくわからない。中南米研究会に入ったきっかけはあまり覚えてなくて。たぶん、バンドで、多人数でやるっていうのが今までなかったんで、パーカッションとかホーンもいるし、そこが面白いなと思って行ったと思うんですけど、あまり本当に覚えてないですね。なんで入ることになったのか。

——みなさん、やっぱり中南米音楽がお好きなんですか。
貴志:大学時代はがっつり中南米音楽を聴いていました。中南米って言ってもジャマイカ音楽がほとんどだったんですけど。古谷と自分が結構どっぷりハマってたんですかね。キーボードの堀智史とベースの本間玲は、また別のサークルと兼部みたいなことしてて、彼らはソウルとかファンクとか、ゴリゴリのブラックミュージックをやってたので、どちらかというとそのふたりはそっちの影響の方が強いかなって気がします。あと本間はジャズの影響も受けてて、タモリさんがOBのモダンジャズ研究会っていうところにいました。なので彼はジャズとかブラックミュージック、キーボードはソウル、ファンク、ぼくと古谷はジャマイカ音楽、有坂はスピッツ。
有坂:私は本当にそこに連れて来られた。
古谷:楽しいよって。だましだまし連れてきて。

——有坂さんはJ-POPがお好きなんですね。
有坂:そうですね、基本、J-POPというか、歌える曲が好きなんですよね、結局。最近は、聴きはするんですけど。でも本当に最近はっていう感じもあります。やっぱり口ずさみたい。

——やっぱり阿佐ヶ谷ロマンティクスも口ずさめるようなところを大事にされてる?
有坂:わたしは大事にしてますね。
貴志:有坂が中心なので、歌は第一前提かなと。そこはちゃんと考えているつもりです。

——そこを大事にしつつロックステディなど好きな音楽の要素を入れてる感じですか。
貴志:そうですね、でもロックステディとかレゲエでもメロディアスな音楽が好きだったっていうのはありますね。自分は。

——その俺の10枚をみるとあまり最近の音楽が入ってない印象だったんですが、最近の音楽とかはあんまり聴いてない感じですか?
貴志:俺の10枚が3年前くらいの話ですかね。今はどちらかというと、リアルタイムな音楽を聴くことが多くなったかなっていう気がします。レゲエも最近はたまに聞いているという感じでボブ・マーリーの声を聴いたら、親戚のお兄ちゃんじゃないですけど、すごい懐かしくなりますからね。
今、どハマりしてるのがカリ・ウチス(*)っていうコロンビアの女性アーティストで、今かなりきてる人で、他はベニー・シングス(*)とかアーロ・パークス(*)とかを好きで聴いてますね。

——そういった音楽から影響されたりっていうのはありますか。
貴志:リズムに関しては気になったりしますね。あとはジャミラ・ウッズ(*)とか聴いてると、かなりシンプルな構成だったり、音数も多くないですし、多くないっていうのが最近のトレンドだと思う。そこは学ぶ部分というか、勉強な意味でも聴いてたりします。

***

音楽の話は尽きない…でもたしかに阿佐ヶ谷ロマンティクスの音楽は、J-POPらしいうたものでありつつ、その背後にある音楽は実に多彩で、色鮮やかだ。それはまた現行の音楽——彼があげてくれたアーロ・パークスやジャミラ・ウッズ——と相通じる部分でもある。もし阿佐ヶ谷ロマンティクスが気に入ったら、彼らの大きなルーツである、ロックステディやレゲエはもちろん、今の音楽に触れてみるのもいいだろう。そして、そんな音楽を聴きながら、阿佐ヶ谷を歩くと、また違うまちの景色が見えてくるかもしれない。

*レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン…90年代にラップとロックをミックスしたミクスチャーを確立したバンドのひとつ。
*「バッファロー・ソルジャー」…ボブ・マーリーの曲
*「アイ・ショット・ザ・シェルフ」…ボブ・マーリーの曲、エリック・クラプトンのカバーも有名。
*カリ・ウチス…コロンビア出身のシンガーソングライター、2018年のアルバム『Isolation』は各音楽メディアでも高い評価を得た。
*ベニー・シングス…Eテレ放送の『デザインあ』の音楽を手掛けるコーネリアスとの交流もあるオランダのポップミュージシャン。*アーロ・パークス…現在注目を集めるイギリスはサウス・ロンドン出身のシンガーソングライター。2021年にリリースされたデビューアルバムはすでに各音楽メディアで高評価を得ている。
*ジャミラ・ウッズ…米シカゴの新生代R&Bシンガーソングライター。2019年にリリースされた『レガシー!レガシー!』は各音楽メディアで高評価を得ている。

つづく…

<聞き手・書き手:江﨑成哉>

阿佐ヶ谷ロマンティクス リリース情報
阿佐ヶ谷ロマンティクスが3ヶ月連続シングルリリース『焦がれ』

配信リンク:
https://friendship.lnk.to/Kogare

今回の作品は今までの阿佐ヶ谷ロマンティクスにはない、アップテンポのダンスチューンに仕上がっている。特徴的なベースフレーズに攻撃的なギターの音を奏でる一方、儚さを感じる歌が相まって、2021年に新たなサウンドに挑戦した彼らの気概を感じさせる。

前作に続き、Music Videoは英語、中国語の3カ国語の字幕に対応。音楽ストリーミングサイトでは半数以上が海外のリスナーと着実に活動の幅を広げつつある。今後の阿佐ロマの活動にますます目が離せない。

【本人コメント】
3ヶ月連続リリースしてきましたが、最後は「焦がれ」という曲です。3曲通してMusic Videoを作成し、今回一連のコンセプトを持ってリリースいたしました。

コンセプトは「普段の生活、そして今感じる違和感」でした。
2021年になっても以前の生活には戻れていない中で、生活とは何なのか考え直し始めたのが
今回の連続リリースを行ったきっかけです。

今は何気なく日々を送っていても、何か違和感を感じながら生活せざるを得ない状況です。
マスクを皆がつけている視覚的な違和感もあリますし、この世の中に漠然とした違和感を
感じることもあるでしょう。その中で生活とは何?今と昔ってなんなんだろうと考えるように
なりました。

この曲にも雨宿りしている時間、人と待ち合わせをしている時間、そうした生活を送っている中でも、
特に何もしていないけど、無駄だと一蹴されてはいけない時間が登場しています。そうした何気ない
時間を大切に、これからも阿佐ヶ谷ロマンティクスの音楽を作って行きたいと思っています。

阿佐ヶ谷ロマンティクス
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